数年前、巷で「団地」に関する写真集が
たくさん出版され、ちょっとした「団地ブーム」が
おきていました。1950年代以降、都市の近代化と
大量の住宅供給の必要性から、たくさんの「団地」が
つくられてきました。それから約50年の月日を経て、
徐々に「団地」は地上から姿を消しつつあります。

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「団地ブーム」それは
多くの人の記憶の中に、「団地」の記憶が
残っているから生まれたものなのでしょう...

建築は「記憶」と共に生きてゆきます。
時代ごとの様式に対する評価とは別に
長い時間、その場所に存在することで
人々の記憶に残るのです。

一時の趣味、趣向ではなく、
長い時間の流れの中で「良き記憶」として残るような設計を
することが、とても大切な事なのではないでしょうか。


2011.10.31 / Top↑
上り屋敷ギャラリーからのお知らせです。

2011年11月12日(土)13日(日)の二日間、
目白駅を中心とした様々な場所を会場とする
「IGO FESTIVAL 2011 in 目白」が開催されます。

最近巷では「囲碁ガール」が密かなブームとなっています。  
「GOTEKI」といったフリーペーパーが人気の火付けとなり、
徐々に囲碁を楽しむ若い人が増えて来ているそうです。

今回のイベントでは上り屋敷ギャラリーは
プロ棋士との対局の会場となります。
(対局は有料ですが見学は無料です。)
また、棋士による「書」も併せて常設展示される予定です。

会場その他、詳しくは下記HPをご覧ください。

公式HP「IGO FESTIVAL 2011 in 目白」


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2011.10.31 / Top↑
写真は「練馬のガレージハウス」です。

約18坪の敷地に木造3階建。
建築面積10坪、延床面積が約30坪の小さな都市住宅です。
12月の竣工に向けて工事も内装の仕上段階に
入ってきました。

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「ペントハウス」と呼んでいる3階部分です。
居間と食堂となります。小さいながらも
使い勝手の良いキッチンと大きなダイニングカウンターが
特徴です。南北に設けられた窓からは
眺めの良い景色と気持ちのよい風が心地よい空間です。


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2階の寝室入口から3階への階段。
上から光が降り注ぎます。
やや急勾配の階段も「都市住宅」らしさ
と言えるかもしれません。



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1階のガレージは梁のリズム感が特徴です。
正面の扉は鉄製の「両開き戸」。
ガレージといえばシャッターが普通ですが
大きな開き戸はまるで「格納庫」のような
印象を与えています。



機能が明確に3層に分かれた空間は
個性的な住まい手のライフスタイルそのものです。
小さいながらも魅力的な「都市住宅」の姿が
見えてきました。

2011年12月竣工予定です。



2011.10.30 / Top↑
普段から、住宅の中にはできるだけ「印象的な本棚」を
つくりたいと考えています。

ここでは、いくつかの住宅の本棚の例をご紹介します。

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<南沢の小住宅>
まわり階段の途中に本棚をつくりました。
主に上の段には大人の本が、一番下には
子供の本が置かれています。
子供と一緒に階段に腰掛けて本を読むことも
しばしばあるようで、「階段室」が「図書室」に
早変わりしていました。


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<あがり屋敷の家>
本棚と階段と書斎が一つになって「階段室」が「部屋」へと
変化しているのがわかります。都心部の小さな家ですが
様々な使い方が生まれる事で面積以上の広がりを感じる事が
できます。


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<小日向の仕事場>
住宅の中心部に「知」の象徴として
洞窟のような黒い「本棚」をつくりました。
上から光が降り注ぎ、「深い海の底」のような
空間に書籍が所狭しと並びます。

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その他の住宅にも様々な「本棚」のかたちを
設計してきました。現在施工中の「練馬のガレージハウス」にも
階段の途中に本棚が設けてあります。

「印象的な本棚」は、その家の「顔」の一部です。
良い本棚が設計できるように、たくさんの話を
しながら家造りを進めるように心がけています。





2011.10.27 / Top↑
写真は銀座にある映画館「シネパトス」です。

元の名前は「三原橋センター」
設計は土浦亀城です。

1952年竣工。
未だ現役の商業施設です。

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面白い事に...晴海通りを挟んで左右に同じ建物が建っていて
地下通路の入り口になっています。


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ちょうど晴海通りの下に映画館と商店が並ぶ
「地下道の建築」です。


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このような建物が生まれた経緯は、戦後復興期に
橋をそのままに河川の空間を有効利用した結果のようです。

→詳しくはこちらのリンクへ。

土浦亀城(1897年生)はF.L.ライトに師事した建築家です。
遠藤新(1889年生)やA.レーモンド(1888年生)と同じ
「ライト門下生」ですが、その作風はライト的ではなく
モダニズム的な建物がほとんどです。

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銀座の徳田ビル、上野の西郷会館もすでに
取り壊され、現存する建物もわずかになってきました。

戦後復興期に「燦然と輝いていた」であろう
白いモダニズム建築は、今、人々の記憶からも
地上からも静かに消えつつあるようです。




2011.10.27 / Top↑
前回の記事でご紹介した、
広島城北学園 城北中・高等学校」の教室に
昨日、新しい椅子が入りました。

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前回の記事→英語教育を主体とする実験的教室のデザイン


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椅子はこちら、Steelcase社の「Node Chair」です。
参考記事→教育スタイルの変化に対応した画期的な椅子

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椅子が並んだ様子です。

これだけの台数の「Node Chair」が、
日本で採用されたのはおそらく初めてに近いのでは
ないでしょうか。

これから、この新しいスタイルの教室で、
外国人講師を中心に、
実験的な授業が行われます。


2011.10.25 / Top↑
写真は東久留米市の「南沢の小住宅」です。
竣工から約2ヶ月が経過しました。

今日は植栽工事が終わって以来の訪問です。

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新築のときの「真新しさ」が徐々に消えて
敷地に建物が馴染み始めてきました。

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玄関まわりです。
脇の植栽がもう少し大きくなってくると
良いしつらえになってくることでしょう。


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今日はクライアントにちょっとした
インタビューがありました。
その模様は後日、ご報告できると思います。

最後に手作りの「栗のケーキ」とお茶を
ごちそうになりました。

2011.10.24 / Top↑
既に再開発計画が進行中の「阿佐ヶ谷団地」。
その中のテラスハウス棟(232戸)が
前川國男の設計によるものです。

1958年竣工。
同じ設計者による「晴海高層アパート」(現存せず)と
同じ年に竣工しています。

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全体計画は公団設計部によるもの。
道路のカーブが丁度良く距離感と場所を
つくりだしています。


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壁はコンクリートブロック造。
屋根は鉄筋コンクリート。
スケール感が絶妙です。


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「晴海高層アパート」が師匠コルビュジエの影響が色濃い
とすれば、素材の表現、スケール感などこちらは師匠レーモンドの
影響が大きい設計といえるのではないでしょうか。



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写真は竣工当時の玄関ドアだと思われる棟。

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とても小さなハンドルがついていました。

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オリジナルは木製の建具。
簡単な納まりですが、深い軒下なので
傷みは少ないようです。



全体の印象として低予算ながら素材の扱い方、
断面や軒先のスケール感などによって
柔らかな優しい印象をもつ建築群でした。


2011.10.21 / Top↑
長野県松本市にある「日本浮世絵博物館 」です。

設計は篠原一男氏

1982年竣工。

コンクリート壁式構造2階建ての
小さな博物館です。

8m×8mの正方形が6つ連結して建物の正面を構成しています。
正方形それぞれに幾何学模様を描いているのが特徴です。

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限られた予算の中で実現する為に
展示・収蔵を単純な箱として裏側にまとめて
それ意外の機能を大胆に正面の6つの箱に集約させて、
斬新な内部空間をつくりだしています。

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この建物は住宅作品が中心であった設計者が
初めて発表した「非住宅建築」です。
しかし、大胆な構成と余白における「魅力的大空間」は住宅作品から
一貫しているので、作品としての違和感はありません。


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今から約30年前の「1982年」

時代が「ポストモダンのはじまり」に入った頃、
すでにこの建築は「ポストモダンの到達点」を示していた!

そんな事を思う...今回の建築体験でした。



2011.10.19 / Top↑
上信越自動車道、松井田妙義I.C.を降りて
10分ほど行ったところに、旧松井田町はあります。
(現在は群馬県安中市)

現在は東京からのアクセスも良いので
2時間ほどで現地に到着。


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1956年竣工の 旧松井田町役場です。
設計は建築家 白井 晟一氏。

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旧街道沿いの、ほんの少し小高い場所に建てられた
小さな町役場です。

すでに50年以上の歳月が過ぎていますが
現在も公共建築として利用されています。

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決して豪華な庁舎ではありません。
むしろ質素な建築です。
しかし、細部にたくさんの工夫がみられます。
そのことで全体としては簡素ながらも
凛とした佇まいを見せているのが特徴です。

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床の「洗い出し」仕上げと大きな幅の
目地が建物のスケール感と程よく調和しています。

丘の上に建つ「パルテノン」のように
「太い列柱」が並ぶ向こう側に
透明なガラスのカーテンウォールが強い「透明性」を示し、
日本の伝統とは異なるプロポーションの軒先の内側に
非常に濃密な「和の空間」を内包している...

洗練されたモダニズム建築とは異なり、
外部から内部へと強い「物語」を感じる建築でした。










2011.10.17 / Top↑